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ソレ・・ [信じますか?]

うちの母方の実家は、林業と木材の加工品を作っていた。


桧の材木を使った一時加工迄を請け負っていたらしい・・


子供の頃(幼稚園生)、実家で所有する山に連れて行ってもらった事がある。


伯父と、軽トラ?に乗り2人で山に入った記憶がある。


IMG_7578.JPG


山の中で数人と合流した・・・


軽トラを止めたその場所から遠くに行かない様に。


そう言い残しておじさん達は、山の斜面を登って行った。


最初は車の周りに生える植物や、そこに生息している虫を見つけて遊んでいた。


そして、ある生き物を見つけてしまった。


車を止めた場所の下り斜面に「やまかかし」がいるのを見つけた。


「やまかかし」に毒は無い言われていた所為か、恐怖心は無くそれを捕まえようと思った。


※「やまかかし」には毒があります。私の子供の頃は毒は無いと言われていました。


子供の私は、その山の斜面を「やまかかし」を捕まえる為に下りてしまったのだ。


私の気配を感じた「やまかかし」は直ぐに逃げ出してしまった。


「やまかかし」に逃げられた私は、しょうがないと下りた斜面を引き返そうと思った。


足を上に向けて登ろうとするが、地面に積もった枯葉や枯れ枝で足が滑る。


登れないのである・・・目に付く雑草を掴み、登ろうと足掻くが前に進まない。


怖くなった私は、助けを求めて大声で伯父さんを呼んだ。


静かな山の中に、自分の声など吸い取られている感じがした。


何度も叫んだ、怖くて涙が出て、泣きながら叫んだ記憶がある・・


どれくらい叫んだのだろう・・多分10分も経っていないだろう。


・・・何かが近くにいた。


それは、形容のしようがない・・人?・・獣?・・のような物だった。


私の横に居て・・私を見ていた。


見ていた?いや・・見つめていた?見ていたのかもよくわからない・・


だって、それの顔?は車のヘッドライトと言えば分かるだろうか・・・


今でもそれだけは思い出せる・・・・


ソレは私を見ていた・・


そして、ソレは私から少し離れては止まり、離れては止まりを繰り返した。


私は何故かそれの後を追っていた・・追わなければいけない気がした。


そしてソレが動かなくなった・・


それは暫くその場にいると・・段々と影を薄くして消えていった・・


「あぁ!〇〇!どこに行ってた!!」


叔父さんの声が聞こえた・・気が付くと私は軽トラの側に立っていた。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


伯父の話によると、私を置いて山に入ってから30分程で軽トラまで戻ったらしい。


そして、私が車の周りに居ないのに気が付き探したのだと言う・・


伯父達は3時間程探し回ったが、私を見つけることが出来なかった・・


伯父は山を降りて助けを求めようと車に戻り、車の側に佇む私を見つけた・・・


でも、私の感覚だと3時間も彷徨った感覚が無かった。


ほんの20分程度の感覚だった。


どこをどのように歩いて斜面を登り、止めた車の側に辿り着いたのか覚えていない。


ただ、ソレの後を追っただけだった・・


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ここで母の子供の頃の話をしよう。


母が小学生の頃。


学校からの帰り道を同級生と一緒に歩いていた。


いつもの通学路


薄暗い感じの、竹藪のある道に通りかかると・・・


ガサ!


竹藪が鳴り、母と友達はその音の鳴った方に目を向けた。


ここからは母の言葉だ。


「車のヘッドライトって言えばいいのかな・・ソレの顔が車のヘッドライトみたいでさ。」


それが、ジッとこっちを見ていた。


しばらくソレは母達を見ていたが、また竹藪の中に消えて行った。


この思い出・・


母は同窓会があるたびに、一緒にそれを見た同級生と・・


「あれはなんだったんだろう・・」


必ず話しをしていたらしい・・


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


母が見た物と私が見た物は一緒だったのだろうか。


その当時、母と伯父にはこう言われた。


「山の神様に助けられたのかもな・・」


伯父にも、母にも、もう聞くことは出来ない。


後年になって、伯父がこの話についてこんな事を言っていた。


「俺も昔、助けてもらった事があるから・・」


ソレ・・・


ソレを見た人は他にもいるのだろうか・・・・

























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